特別おいしいアップルパイ

亡くなった娘と共に分かち合う小さな喜び

娘が27歳で自らの命を絶ってから、パンづくりとお菓子作りは私の癒しの時間となりました。頭の中が亡くなった娘のことでいっぱいになり精根尽き果ててしまいそうに感じた時、好きなお菓子作りをします。おいしくできた時は、娘の遺影に供えることができ、なんだか甘い物が大好きだった娘のために少しでも何かできているようで悲しみの中にも癒しが得られるからです。

お菓子作りと言っても、日本にいる間は仕事が忙しく、子供が小さいころにお遊びでクッキーを一二度焼いた事があるぐらいの経験しかない私のこと、そんな手の込んだものができるわけでもないのですが(^^;

間違って買った酸っぱいりんごが大量に冷蔵庫にあったことから今回はアップルパイに挑戦してみました。これまで何度かパイを焼きましたが、どうしてもサクサク感が出せず満足のいくパイが焼けなかったので、今回はサワークリームを使ったパイ生地に挑戦。そして作業中の温度管理にも注意を払い、パイ生地を作成。中身に入れるりんごのレシピは、昔からある伝統的なやり方で用意することに。

実は、簡単にサクサクパイを焼くには、ショートニングを使うのが一番なのですが、やはり風味はバターにかなわないのでバターにこだわって作ってみました。ちなみに、アメリカの主婦はショートニングを良く使います。アメリカではショートニングが禁止になるというような誤報道が日本でされているようですが、ショートニングではなく、添加物であるトランス脂肪酸の使用を2018年から使用禁止にするというだけで、マーガリンやショートニングは相変わらず存在し続けます。また、トランス脂肪酸ゼロと表記されていても、実のところ完全にゼロというわけではなく、一人分あたり0.5g以下に抑えていればゼロと栄養価表記ができるるということのようです。

さて、そのできはというと・・・

やった~、初めてサクサクパイが焼けました!

アップルパイ

見た目は大したことないですが、本当にサクサクで中のりんごもとってもおいしくできていて、娘が生きていたら絶対食べさせてあげたかった会心のでき。

さっそく、一つ切り分けて娘の遺影にお供えしました。

「お母さんのアップルパイ、初めて上手にできたよ。食べてね」

そういう私の目には涙がじんわり。甘いものが大好きだったのに、ダイエットするのだと言って我慢していた娘。太った自分は嫌いだから、と、言っていた娘。亡くなる少し前には薬の副作用で太ってしまい、「こんな自分じゃ、彼氏に会えない」と、遠距離恋愛の婚約者が会いに来たいというのに、「来たら警察呼ぶよ」と断り続けた娘。

太ってたって、痩せていたってかわいいのに。彼氏だって「僕は見かけに惚れたんじゃないよ」と言い続けていたじゃない。どうして死んだりしたの?

生きててくれたらよかったのに・・・と、ぼんやりと遺影に手を合わせていると夫が「僕たちも食べようよ~」

とってもおいしくできたパイが娘も好きでありますように。

(今回のレシピは以下に載せましたので、興味のある方はお試しください^-^)

アップルパイ

パイ生地(2枚分)

材料

  • 氷水(冷蔵庫で事前に冷たくひやしておいた水) 1/3カップ
  • サワークリーム 大さじ3
  • 薄力粉 2 と1/2カップ
  • グラニュー糖 大さじ1
  • 塩 小さじ1
  • 無塩バター 大さじ16 (5ミリ角に切って冷凍庫で10分から15分冷やしておく)

作り方

  1. 小さいめボールに冷やしておいた1/3カップの水とサワークリームを入れ良く混ぜる。冷蔵庫で保管。
  2. 大きめのボールに薄力粉、グラニュー糖、塩を入れ泡だて器を使ってよく混ぜる
  3. 角切りにしておいたバターを入れ粉類に入れパイ用ブレンダ―で切るようにして手早く混ぜる。ブレンダ―がなければへらを代用。バターが解けないよう、低温を保つようにして手早く行うことがコツ。バターがボコボコと目立っていても良いので全体に混ざったら次の行程へ。
  4. 1のサワークリーム水の半量を3の粉類に入れ混ぜる。このとき絶対に練らないこと(バターが解けると焼きあがったときパイ生地のサクサク感がなく硬いクッキーのような生地になるので)。残りの半量を入れ混ぜる(生地がまとまりにくいようであればさらに氷水を大さじ1から2加える)。
  5. 生地を半分に等分し、お団子状にまとめたらそれぞれをラップにくるんで上から少し押して円盤状にし冷蔵庫で1時間保管。(ポイント:多少ボロボロしていてもラップにくるんで一つにまとめる。このとき、手でこねてまとめようとしないこと。手の熱でバターが解けると焼きあがったときにサクサク感がでない。作業中は温度を低く保つようにし必要とあれば、最初のサワークリーム水半量を入れ混ぜ合わせた後冷蔵庫で5分ほど休ませても良い)
  6. 生地を冷蔵庫から取り出し、10分ほど休ませる。台に打ち粉をし、麺棒で円形に手早く伸ばす。1枚はパイ型にしき余分なところはナイフで切り落とす。パイケースの出来上がり(もう1枚は、パイケースのふたとして使用するので、パイの中身が入ったところで作業を始めても良い)。

アップルパイのフィリング(りんご)

  • 材料: 薄く切ったりんご 5カップ
  • グラニュー糖 3/4カップ
  • 薄力粉 大さじ2
  • 塩 小さじ1/4
  • ナツメグ 小さじ1/2
  • 水 1/4カップ
  • バニラエッセンス 小さじ1
  • パイケース 1
  • バター 1/2スティック 角型に小さく切っておく
  • 上に覆うパイ生地 1

作り方:

  1. オーブンをカシ350度(180℃)にセットする。
  2. 最初の7つの材料を混ぜパイケースに入れる。
  3. その上から角切りにしたバターを散りばめる。
  4. パイ生地で覆い、はみ出た端の処理をする。ところどころ、切り目を入れ蒸気の逃げ道を作る。
  5. オーブンに入れ350度(180℃)で50分焼いた後、375度(200℃)で10分ほど焼く。軽く焼き色がついたらOK。

アップルパイを切り分けたところ

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